徹底分析第2弾!3種類のアスベストが含まれる建材【本日の分析】
《 2024年10月29日 》
本日分析した検体をご紹介いたします。
今回は、以前記事の取り上げた2種類のアスベストが含まれる建材のさらに上をいく3種類のアスベストが検出された建材についてのご紹介です。
前回の記事はこちら→
2種類のアスベストが含まれた建材を徹底分析!【本日の分析】
今回は軽量鉄骨造の家屋の外壁です。
現在、厚生労働省通達でアスベストとして定義されている鉱物は6種類ありますが、本日分析を行ったスレート壁からはその内3種が検出されました。
スレートはアスベスト検出率の高い建材ではありますが、3種類ものアスベストが一度に出るケースはそう多くはありません。


断面を見ると、既にふさふさした白い繊維が見えています。
このとおり、目視でも観察できたことから今回は前処理を行わずに分析しています。
今回の建材からはクリソタイルとアモサイト、そしてクロシドライトの3種類が検出されました。どれもかなり含有量が多く、それぞれの繊維の特徴がはっきりと観察できます。
まずはクリソタイルの顕微鏡画像です。



クリソタイルは曲がった状態でも検出される繊維状で、分散染色(1.550)で横方向が赤紫、縦方向が青色をしています。
次にアモサイトの顕微鏡画像です。



アモサイトはまっすぐな繊維状で、分散染色(1.680)で横方向がオレンジ、縦方向が青色をしています。
最後にクロシドライトの顕微鏡画像です。



クロシドライトはまっすぐな繊維状で、分散染色(1.700)で横方向が青紫~青、縦方向が青色をしています。
今回検出された内「クロシドライト」はその青みがかった外見から別名青石綿とも呼ばれ、アスベストの6種の中でも最も中皮腫(悪性腫瘍の一種)の発生リスクが高いことで知られています。
もしこの外壁から劣化等の原因で舞った粉塵を、この家にお住いの方や周囲の方が吸い込んでしまう危険性を考えると恐ろしくなります。
クロシドライトや、次に発生リスクが高いとされているアモサイトなど発がん性の高いアスベスト種の輸入と使用は1995(平成7)年に禁止されています。
しかしそれより前や近い年月に建てられた建物については使用されている可能性も考えられます。解体やリフォームなどの際には、こういった点にも十分に注意していくことが必要です。
【分析担当:渡部・見並】
【分析結果:含有】
クリソタイル(5~50%)、アモサイト(5~50%)、
クロシドライト(5~50%)




